鶴と亀

19日に綾部のハス園(ボブ・サムさんストーリーテリング)、20日から天橋立の籠神社、天真名井神社、そして丹後へ行くことに決定。 その後、ついでにどこを巡ろうかと考えていた。
長距離移動が多い私達、その途上をゆっくり巡ることがあまりないので、いつも通り過ぎがちな但馬を巡ってみようと、ふと思いついた。

仕事を含めた日常生活そのものが、必然的なメッセージだという確信があるので、旅についても、さほど前もって心配したりすることはない。
一昨年ほど前から、ますますその感が強まっていて、天気などもまったく気にしなくなった。晴れてほしい時は、天気予報を完全に覆して快晴になってくれるし、浄化が必要なときは前もって豪雨になってくれる。
ただ今回は、ずっとカミナリのイメージがあった。

それと、籠神社に行くということで、「カゴメの歌」が気になる。
「綾部が鶴、亀岡が亀」…、大本教で有名だけれど、その情報に忠実に、わざわざ亀岡を散策する気にはならない。 今回は、きっと別な鶴亀が準備されているのだろう。

19日は快晴。
朝から柳生で「行者さん」「観音さん」の行事。柳生といえば、芳徳寺が有名だけど、地元民にとっての寺といえば、立野寺。その寺の裏山を登ったところに「行者さん」があって、役行者の像があるけれど、もともとは雨乞いの場所だったらしい。50歳代ぐらいの方によると、子どもの頃、松明をもって雨乞いしていたらしいので、今もそのイメージは強いようだ。
「昔はクワガタがギョウサンいたところや」と言って、数人が木を揺らしたら…、すぐに大きなミヤマクワガタの雄が2匹落ちてきて、息子は大喜び。クワガタを袋に持ちつつ、みんなで祈祷。
「これで、雨が降ってくれるで」と言いつつ、今度は寺の本堂で観音さまの行事。御詠歌をうたう老齢のご婦人3名も参加。本堂の隣には、弥勒菩薩様もおられる。
お昼前に行事が終了し、ナオライは辞退。クワガタを放してから、綾部に向かった。
出雲に行くときに頻繁に使っていた9号線を経由。綾部に入った途端、黒雲が立ちこめてきて、予想通り、激しい豪雨と雷。
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イベント会場のハス園に着く頃にはちゃんと雨が止み、目の前には瑞々しい空気に満ちた谷間が広がっていた。
出店者・企画者ではなく、一般参加でのイベントは久々。出店には2,3日前から準備が必要だけど、今回は出店許可が当日に判明したため、身軽な参加となった。
久々に会う友人家族たちは、出産で新家族が増えていたりで、とても幸せな空気が会場に広がっている。
園主手作りの、とても温かな谷間だった。 所々に「柳」が植えられているのがいい感じ。
見頃は終わりかけだったけれど、ハスの花はとても美しく、花びらが落ちた後の個性豊かな「蜂の巣」が数多く頭をのぞかせていた。

短期間でこれだけの準備、集客を成し遂げた関係者の純粋な志、そして必然の波にのっているボブさんたちの動きを思った。
風情のある東屋で、「やのん」のユッコさんが、ネイティヴアメリカンのアニマルカードを引かせてくれた。
私は「クマ」だった。

ボブさんの語りは、いよいよ真骨頂という感じ。質疑応答タイムの応えも、穏やかな口調のなかに、稲妻のように輝くようなものがある。「今日、子どもたちも参加してくれたことが、とても嬉しい」…、やはり彼は語り部だ。

一番興味深かったのは、ボブさんの語りが始まった途端に、会場の隅で子どもたちが「カゴメ歌」の遊びを始めたこと。
年長の小学生のお姉ちゃんが面倒見がよく、3歳の息子たちもちゃんと輪の中に入れてくれた。語りの邪魔にならないよう、控えめに小さな声で遊んでいるのが、より一層、不思議な感覚を誘う。ボブさんの語りのBGMとしては、最高だった。
今回の旅のテーマは、鶴と亀であることが、はっきりわかった。

イベント終了後、火を囲んで三々五々に語らい。「Rupaさんですよね」と、見知らぬ方々が声をかけてくださった。こだわりなく等身大で話ができたのも、たき火のお陰。欲張らなかった分、自分の言葉ではない不要な主義主張を話すこともなく、とても平和な感じが有り難かった。
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翌朝、露に濡れたハスの花を愛でてから、天橋立に向かった。
霧がはれて、また快晴。炎天下、天橋立に到着。 「籠神社」、「天真名井神社」へ。
天真名井神社の印象は、またいつか。とても深いものを感じる。大和にも似ている場所がある。「もと」というイメージがきたので、その近所の氏神さま、「ふもと神社」にもお参り。

そして、丹後半島へ。「伊根」の静かな家並みが、素晴らしい。海と一体となった生活。村はずれの、小さな美しい湾の先端で、水遊び。波のない静かな浅瀬で木陰もあり、息子はまた素っ裸。 どうやら、ここは「亀山」という字名らしい。
イネの亀山。

しばらく遊んだ後、丹後半島を海沿いにまわって、浦島神社へ。内陸の方にあるからか、さほど…、ピンと来ない。 稲ワラでつくった亀が飾ってあって、それがすごかった。

翌朝、近くの公園に大きな地図の看板があった。見ていたワタルが「玄武洞」という処が気になるという。私も異論はない。朝6時、朝食も食べずに、まっしぐらに向かった。
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そこは、人智を越えた宇宙!
「六角柱」の世界。
もう言葉では表現できないので、表現しないことにする。スケールが大きい上に六角の形状が細かいので、全写真でも全容を撮りようがない。
4カ所の洞がある、最高級の聖地。
玄武洞の磁性の方向を調べた結果、この洞が生まれた160万年前は、地磁気が「南北逆」であったことが判明したそうな。
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これほどまでに、亀甲づくしの世界を見たことがない。
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ここに来れて、本当に良かった。
感謝しつつ、近くの河原で玄米粥をつくって朝食。

で、昨夜、看板を見て気になっていた「コウノトリの郷公園」に直行。
野生復帰を目指して放鳥されたコウノトリのカップルが、今年5月に卵からヒナを孵したことは知っていたけれど、7/31に、ヒナが巣立っていたことは、、恥ずかしながら初めて知った。国内の自然環境での巣立ちは48年ぶり、とのこと。
早くに行ったので、まだ開園していなかった。どういう公園だかよくわからないままに売店の人に「巣立ったコウノトリがいるんですか」と訊くと、「公園にはいない。百合地で生まれ、今は『六方田圃』というところにいる。六方川のそば」とのこと。
で、教えてもらったあたりに行くと…、向こうの田圃に一羽のトリが歩いている。サギではない、コウノトリだ。
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一羽のコウノトリが、あぜ道をゆっくりと歩いていた。
その向こうには民家が見える。
ごくごく普通の光景のなか、自由に歩いていた。

なんとも言えない感動が湧き起こってきた。

  カゴの中から、出たんだ。

日本国内に留鳥としても存在したが1956年には20羽にまで減少。同年、国の特別天然記念物に指定。1986年2月28日最後の一羽が死亡、国内絶滅種に。
何度、卵を産んでも、まったく孵らない。調べた結果、水銀などの農薬の成分が体内や卵に蓄積し、繁殖能力が低下してしまったことも、主な原因のひとつだったらしい。
その後、動物園などで人工飼育、人工繁殖に成功。コウノトリの郷公園では、2005年から野生復帰計画を開始。今年7月31日、国内の自然界で43年ぶりに誕生した幼鳥が人工巣塔から巣立ちし、飛び立った。
この計画では絶滅の原因になったとされる「農薬」を使わない、「無農薬栽培」を周辺の農民が協力。地域ぐるみで野生絶滅種をよみがえらせる世界初の成功例だという。

元来、鶴は木の上に巣をつくらない。
方や、コウノトリはよく松の木に巣をつくる。日本画で描かれている鶴は、実はコウノトリだという。
昔、コウノトリは鶴とも呼ばれていて、出石にあったコウノトリがよく巣をつくる山は「鶴山」と呼ばれ、コウノトリを見物できる名所として有名だったという。

コウノトリの巣づくりは、古今東西、瑞祥とされてきたのだ。

ここの博物館、実にすごい。
「柳」のカゴづくりの産地でもあったようで、今も柳行李をつくっている職人さんもおられるとか。現地の歴史や風土の展示もしっかりしている。

それにしても、地域住民の顔や声が、ここまで丁寧に展示されている博物館は見たことがない。現場の生の声、本当の思い、…見ているうちに、涙が止まらなくなってきた。

「無農薬農業を始めた頃、『コウノトリのためにしてるんですね』と誉められたけど、コウノトリのためにしているんじゃない。今こそ、本来の農業をしないと農業が滅んでしまうんじゃないかという危機感があるんです。昔は、山と川と田圃を一体として見ていた。自分たちが国土を支えているというプライドがあった。夢は、50年前の米の味を再現し、孫に食べさせることです」

無農薬の米や野菜を買って食べる理由に、「身体に良いから」というのがある。しかしその行為が、無数の生命を守っていることを忘れてしまいがちだ。実のところ、その土地全体を守ること、自分達の子孫を守ることにつながっている。
そんな心のこもった無農薬の田圃があってこそ、コウノトリは生きていける。

 米、コウノトリ

この博物館があったところは、カタシロによって祓いを行う「ハラエド」があった場所であったことが発掘調査で判明しているという。

心晴れやかに博物館を出ると、目線の先に、羽ばたき飛んでいく一羽のコウノトリがいた。力強い羽ばたき。

私達も、自然のなかに生きているはずだ。
今なら、きっとまだ間に合う、

カゴのなかから出て、自然とつながって生きてみよう。

目を覚まし、力強く、羽ばたいてみよう。


 はらえどの うしろどの もんを あけて
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by rupa-ajia | 2007-08-25 13:53 |
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