取材現場の開放

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明けましておめでとうございます。
今年も、何卒宜しくお願い申しあげます。

ここ数年、大和高原の年迎え行事を取材したりしていましたので、今年こそ大和高原特有の「味噌仕立てのお雑煮」にしようかと思ったのですが…、無理でした。
二杯目までは、中国地方山間部のお澄ましのお雑煮。三杯目で、大和高原風の味噌仕立てに。やはり幼少時の記憶というのは消せないもの。家庭内祭祀の多様性を感じるには、お雑煮が一番わかりやすいかもしれません。
不思議なのは、幼少時の記憶とともに、お雑煮を口にすることによって、何か新たな力を与えられたような気がすることです。さらに、大和高原風のお雑煮には、土地からのご加護を感じたりもします。食というのは、人が想像する以上の影響を与えてくれるものなのですね。お米やお餅、野菜を送ってくれる両親に感謝しつつ、日々、有り難く食べ物をいただきたいものです(無農薬・無化学肥料による栽培。米を含め、自家採取の種が約30種も!)。

ところで、昨年末から年始にかけて、いつものように、いろいろなことがありました。大和高原の家庭内祭祀を見聞したり、久々に広島に帰省したり、仕事上でも何やかんやとあったり。
とにかく、いろんなことが、つながりながら存在していることが、ますます強く感じられる今日この頃です。
例えば伝統祭祀などにおいては、その行事「のみ」を紹介するだけでは、余計に難解な状況を生み出すようなケースが少なくないように感じられます。ひいては「伝統行事は意味不明で当然」という不遇なる認識が定着してしまう…。意味を確定せずとも、全体的なつながりのなかで表現できたなら、何か見え方・感じ方が変わってくることもあるのではないでしょうか。

仕事でも、企画テーマに沿った原稿が求められます。が、すべてがつながりあっている現実の中から、ごく一部の要素を抽出しなくてはいけないというジレンマは、時として執筆を難しいものにしています。
年明け早々、例によって某地域情報誌編集部より、重要な一文を二カ所、強制削除されたのですが、その理由が「テーマには関係ないから」。
「読者にわかりやすい情報のみ提供すべき」というポリシーのもと、テーマと深い関係をもち、なおかつ、現実の理解を深める一文を抹殺するのは、いかがなものでしょう。

特に家庭内祭祀や家庭料理は、家庭ごと、年代ごとの多様性、背景が幅広く、一概には類型化できないジャンルです。 原稿などにまとめるときに、注意し過ぎるほどに注意しても、なお過ちを犯してしまう危険性が常につきまといます。高度に洗練された学究的な視線よりも、名もなき一庶民の目線の方が、大きなヒントを与えてくれることも少なくありません。
「固定化され抽出された現実は、現実ではない」ということを認識しつつ、それでも消えゆくものを記録しておきたいという、ジレンマ。

その解消法の一つとして、「人から人へと、生きた体験を通して伝えていくこと」を挙げたいと思います。つまり、取材現場の開放です。
原稿を読んで頂くのは、本当に有り難いことです。しかし、もしご都合が許すのならば、なるべくなら大和高原に足を運んでいただいて、直に人々や自然に触れ、感じていただきたいと思っています。

ただ問題は、そのような貴重な場を設定しても、当日、私自身がドタバタとし過ぎてしまい、なかなかスマートなお膳立てができない、ということ。ですので、「取材者の一人、運営スタッフの一人」として、積極的に参加してくださると、なおのこと有り難いのです。得も言われぬ貴重な記録を残すことができるでしょう。
例えば年末恒例の「神野山での餅つき大会」では、「他の餅つき体験と違って、ここは準備から片づけまで、全部、経験できるので、子どもと一緒に毎年、来ている」と、おっしゃってくださる方もおられます(実は、準備不足なだけ:汗)。さらに来年からは、「餅つきの仕方」だけでなく、地元の方々との交流を促すような、ちょっとしたきっかけ作りを考えていきたいものです。
もちろん、静かに佇んでいたいというお気持ちも、十分に共感できますので、交流を押しつけるつもりはありません。取材対象者の方々も、寡黙な方が少なくありませんので(特にアルコール燃料がない場合)。

現場をセッティングするには、おこがましいほどの未熟者の私です。ですが今年は、「珍しい取材現場」の解放を、より一層促進できれば、と思っています。

紙やディスクじゃなくてもいい。魂に記録する言葉を、ともに取材していきませんか。
きっとその記録は、相応しい節目に再生の力を与えてくれるはずです。

あたたかなお雑煮のように。

※写真(左)は、山添村の某家のお雑煮。主役は、里芋のカシラ。お餅は椀から取り出して、小皿に入ったきな粉をつけて食べる。写真(右)は、同村某家の、十二月さんと三日月さんのお供え。三日月の上に載っている「星」は、男性が食べる餅。
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by rupa-ajia | 2009-01-12 16:13 | 大和高原(地元ネタ)
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