「第四回 やまんと和の体験塾」にご参加いただきました皆様、誠にありがとうございました。
当日、またしても時間がおしてしまったり、数々のそそうがありましたことを、お詫び申しあげます。にもかかわらず、皆様それぞれのペースで楽しみながら柳生を体験いただきましたことを、心から有り難く思います。 常々思うのは、「やまんと」やRupaの企画にご参加いただく皆様は、それぞれに自分なりの視点をお持ちだということ。得てして私達の企画には、予想外のハプニングが起こりがちで、そのためにより一層、気づきが深まったり、楽しくなっていったりするのですが、臨機応変にその波に乗っていかれる皆様には、脱帽です。 例えばお昼ご飯。通常営業の時と違って、その場は炊き出し状態。 お椀が足りない、お箸が足りない、子供用のスプーンがない、などなど、合宿のような有様ですが、小さな子ども同士のいざこざを巧みにまとめ、配膳をお手伝いしてくださり、隣の座卓のことまで気を配ってくださる役を、いつも誰かが自然に引き受けてくださいます。 そして、体験塾でも、各々の個性が発揮されます。 その多様な有様は、眺めているだけで、実に愉しい…。 そうやって、その場がチャンプルーされて、かき回され、空気が熟成していくのですね。 柳生新陰流の体験、柳生木炭組合の組合員さんとの交流。 柳生ならではの濃い体験にふさわしい、濃い皆様でした。 ありがとうございました。 今回、「はるや」さんのおやつタイム(おいしかった!)の後に、三線をつまびきながら八重山民謡を歌ってくださったAさん。 「日本人なのに八重山民謡をやっている理由。最近になってやっとわかってきたような気がするんです。それは、八重山の人達の心。その温もりに感動して、八重山の歌を続けてきたんだと思います。今日、木炭組合の方と話をしていて、(八重山の人達と似ている!)と思いました。こんな人達が日本にもまだおられたんですね」と語ってくださいました。 そうなんです。八重山でも特に濃いと言われる宮古のノリにそっくりなんですよ。 今日は、ちょっとよそ行きの顔をされてましたが、普段はもっと宮古っぽい。 山から切りだし、きれいに積まれたいろんな木の傍らで、地元の方々とノンビリ日なたぼっこしながら交流していただけたこと、本当に嬉しかったです。 ところで昨日は、奈良市内で【また来て、ええとこやで山添:むらづくりシンポジウム】に、パネリストとして参加したのですが、つくづく山村の可能性を再確認した次第です。昨今の市町村合併に流されず、大和高原で唯一、自治体として独立を維持。その理由の数々を、この数年で体感してきました。この村の素晴らしさは、一言では語り尽くせません。 昨夏より、現地の民家に宿泊する「農山村民泊」を推進している山添村。 奈良県は、宿泊観光客の人数が全国最下位。 よくある観光パターンは、東大寺や奈良公園、法隆寺を見て終わり、そんなところでしょうか。でもそこには、現地の人々の表情や生活、その心といった大切な要素が、ほとんど含まれていません。有名な寺社仏閣の伝統行事では、一般庶民は、何月何日の何時、その場所に行って見学するだけです。 ところが大和高原を初めとする山村では、目に見える景観のほとんどが、地元の方々とその祖先の方々だけによって守られてきました。村史には、秋の大祭しか記載されていませんが、村の小さな神社の数々も、集落の人々から日々、大切に祀られています。 とある小さな神社では、一年間、役にあたった人が、早朝と夕方に境内を掃き清めます。ただ掃除と言っても通常のレベルではありません。落ち葉一枚、落ちていない状態まで、掃除するのです。落葉の季節には、朝夕ごとに2時間ほどかけて掃除し、毎日、5種の供物を調えます。 つまり、祀りのすべてを、日常のなかで日々、自ら創造しているのです。 食料やエネルギーだけではない、自給自足の本来の姿。 山村に来られたときには、是非ともこの心意気を感じていただきたいと思っています。 外から見れば、地味で目立たないかもしれない。でも内に入り込んで見たとき、何百年も続いてきた重みとダイナミズムは、圧倒的な感動を呼び覚ましてくれます。 今回の柳生新陰流も炭焼窯も、まさに何百年にもわたって人から人へとつながってきた宝物。 柳生新陰流は一度、江戸に出て、数々の先人の皆様が今再び、柳生につなげてくださったのです。 つないでくださったことへの感謝、その一端、カケラでもいい、次の世代に心をつなげていくことへの責任。そしてつないでいくなかでの喜び、楽しみ! 人もまた、いえ、人こそが、かけがえのない文化財であること。 その土地に足をつけ、現地の人々と語らい、是非、夜の空気、朝の光を感じてみてください。 今回、和の体験塾の後、京都北部の山間部で田舎暮らしをしているご一家が泊まってくださいました。久々の再会だったのですが、田舎での暮らし、仕事のこと、地域起こしなど、こちらもとても多くの気づきをいただいた、夜の深い語らいとなりました。 ところで、4月5日・6日の「柳生さくら祭」の準備がいよいよ本格化。 祭に向けて、大和高原内外のグループが練習を始めてくださっています。 私は、イチ実行委員として、出演の皆様の連絡調整役。今からワクワク! もし宜しければ、「柳生さくら祭」でも是非、宿泊体験を。 地元の方々の意外な表情がたっぷり見れますし、ハプニングも楽しめます~。 そして速報! 6日のお昼前に、古武術研究家の甲野善紀先生が、「柳生さくら祭」にご出演頂けることになりました。6日の午後からは正木坂道場で先生の講習会も予定されています。 http://www.shouseikan.com/index.html 取り持ってくださいました柳生二蓋笠会の皆様、柳生天狗堂の池之側さん、いつもありがとうございます。 翌7日の午前中は、先生ご一行に、柳生のお宝をご紹介させて頂きたいと思っています。 桜の開花より、一足早く、里人の花が開きそうです。 皆様、どうぞ、宜しくお願い申しあげます。
by rupa-ajia
| 2008-03-10 18:11
| イベント(ライヴ・ワーク等
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■ライター 近藤夏織子
(こんどう・なおこ) 医学書出版社の編集部に在籍後、フリー。10数年前より民俗学の分野を中心に、古老への聞き取りを進め、独自の視点で記録執筆を行う。ほか、伝統、食農、田舎暮らし、神話、アート、紀行、建築、科学、医学、…、etc. 中世・ルネサンス音楽のレッスンも承ります(リコーダーアンサンブル)。 http://amanakuni.net/rupa/index.html 各種お問い合わせは、直接ご連絡を ■連載記事・掲載誌の一部 ミニコミ誌『なまえのない新聞』 名前のある家 2000年~ 不定期掲載 『チルチンびと広場』web版 連載コラム担当 「7代先につなげたい、 先人の心」 http://www.chilchinbito-hiroba.jp/column/senjin/ 『チルチンびと』 民俗学分野の原稿を企画執筆 『田舎暮らしの本』 など 以前の記事
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